AUDUSD&USDJPYが最強? - どの通貨ペアを使ってポートフォリオを組むべきか
予測精度が良いモデルを組めたとして、どの通貨ペアを使ってポートフォリオを組むべきなのか?はポートフォリオ全体としてのリスクを減らして安定運用するために非常に重要な問題です。通貨ペア間の間には様々な関連性があり、良い通貨ペアを選択することは難しい問題だと思っています。今回は、暴落暴騰時の通貨ペア間の相関性という観点から好ましい通貨ペアを見つけるという試みを試してみようと思います。
仮説
暴落・暴騰時に影響を受けにくい(=相関性の低い)通貨ペアをポートフォリオとして組むことにより、ポートフォリオの安定性は向上するはず。
検証方法
今回は、暴落・暴騰時の相関性の低い通貨ペアを探すことにのみフォーカスします。検証する通貨ペアは手元にデータのある6ペアAUDJPY, AUDUSD, EURJPY, GBPJPY, GBPUSD, USDJPY, 時間軸は1時間足。検証期間は2007~2017年の10年間です。各通貨ペアにおいて、0.0001
, 0.001
, 0.01
, 0.1
パーセンタイル以上の値動きの幅(abs(Close(t) - Close(t-1))
)のときの他の通貨ペアとの相関を見ます。
- 実際に発見した通貨ペアでのポートフォリオを組んでバックテストを走らせた上でシャープレシオの比較を行うことができればベストなのですが、僕はまだ安定して利益の出るモデルを組めてないので今回は省略します。悲しい。
前提
各通貨ペアのボラティリティがどのようなものになっているかプロットしておきます。window=9のヒストリカル・ボラティリティの1ヶ月平均のはこのようになっています。
Pair | Avg.Volatility |
---|---|
AUDJPY | 0.137 |
AUDUSD | 0.110 |
EURJPY | 0.104 |
GBPJPY | 0.110 |
GBPUSD | 0.077 |
USDJPY | 0.085 |
時系列で見ると
ヒストグラムはこちら
結果
at/通貨ペア
のカラムが暴落・暴騰しているペア、各行がその時の他の通貨ペアという表示になっています。非常に面白い結果が見えたなと思いますがいかがでしょうか?
threshold = 0.1
AUDJPY & GBPUSD, AUDUSD & USDJPY, USDJPY & GBPUSDがとても良さそうなペアですね。
threshold = 0.01
AUDUSD & USDJPY, USDJPY & GBPUSD は続けて好調。一方AUDJPY & GBPUSDの相関性は比較的大きくなってます。
threshold = 0.001
AUDUSD & USDJPY, USDJPY & GBPUSDは続けて好調。他の通貨ペアは軒並み相関係数0.8超えているものが多いですね。
threshold = 0.0001
サンプル数がかなり少ないのでアレですが参考までに。AUDUSD & USDJPYは続けて好調。USDJPY & GBPUSDも比較的良さそうですね。ただし、USDJPYが暴落暴騰した際にはすべての通貨ペアが高い相関を持っています。
結論
AUDUSD & USDJPY
ペアが最も安定して相関が低く良いポートフォリオを組めるのではないか。という結果になりました。次点でAUDJPY & GBPUSD
, AUDUSD & USDJPY
のペアでしょうか。
Appendix 1
参考までにUSDJPYの暴騰暴落時の他の通貨ペアとの相関の様子をプロット+回帰したものをこちらに。
threshold=0.1
threshold=0.01
threshold=0.001
threshold=0.0001
Appendix 2
最近はずっとトレンド推定用のDeepLearningモデルの構築をしていて気がついたら全然ブログを書けてなかった。現在開発しているモデルは1時間後のトレンドを70-75%の精度で予測してくれるのですが、トレンドの推定だけでは勝てないのがまた面白いところ。つらい。別の切り口からモデルの再構築をしています。その話もいずれ記事にしたいところですね。